老後を迎えた愛犬は、動きもゆったりしたものになり、食事や運動にも年齢が表れてきます。
しかし、まったく運動せずにいるとさらに老化が進んでしまいまい、良くありません。
愛犬が歳をとっても、飼い主であるあなたとの散歩が重要な役割を果たしていることには変わりません。
散歩は、愛犬の運動機能を維持し、また精神面を向上させる効果があります。
何より、飼い主は愛犬の健康状態を確認することができます。
では、老犬にはどれくらい運動・散歩をさせればよいのでしょうか。
今回は老犬の適切な運動についての知識を共有いたします。
●老犬の体調とウォーミングアップ
愛犬の体調がすぐれないな、様子がおかしいな、と感じたら、その日の散歩をお休みするか、散歩の時間を短めに設定しましょう。
歩き方がおかしいな、足腰が弱ってきたな、と感じたら、段差の多い道やじゃり道などを避け、歩きやすい散歩コースを選びましょう。
幼犬期、成犬期と同じ距離やコースの散歩は、体力が衰えた老犬の脚や関節に負担がかかってくる場合があります。
愛犬の様子を見ながら、散歩の途中に休憩を挟むなどして調整しましょう。
また、ウォーミングアップ無しで急な運動をさせるのも好ましくありません。
散歩に出かける前に、
・脚の関節を軽く曲げ伸ばしするストレッチしてあげる
・室内やお庭でリードをつけて歩かせる
など、愛犬の身体をほぐすために準備運動を施しましょう。
●散歩するときの気温と時間帯
老犬は体力も衰えてきているので、散歩の時間帯には気を配るようにしましょう。
夏場などの気温の高い時間帯のアスファルトは、とても高温になっているので、散歩のコースにも配慮が必要ですね。
気温の高い時間帯の散歩は、愛犬が熱中症や熱射病にかかってしまう可能性があります。
散歩に行く時間帯の目安としては、手で直接地面に触れて、冷たいと感じる時間帯が良いでしょう。
地面が暖かいと感じる場合は、朝であればもう少し早い時間に、夕方でしたらもう少し遅い時間にずらして連れていくようにしましょう。
犬は、人間同様、太陽の光に当たると体内で分泌されるメラトニンというホルモンが増加します。
メラトニンは「眠りをいざなうホルモン」として知られており、分泌量が1日の中で変化しているため、生体リズムに関係しています。
分泌量が増えると14~17時間後には眠くなると言われているので、朝散歩が推奨されています。
小さい子どもに老犬の散歩をさせる場合は、飼い主も付き添いながら、老犬の状態をしっかりと把握できる状態で連れて行くことが好ましいです。
老犬の散歩は、思わぬトラブルが起こることも考え、可能な限り子どもだけに任せずに、判断能力がある成人が付き添うように心がけましょう。
●おわりに
足腰が弱り、体力が衰えた老犬に散歩は不要ではないか、と考えてしまう飼い主さんが多いようです。
しかし、成犬と同じく、老犬にとっての散歩は、肉体的にも精神的にも一定の有効性が認められています。
散歩を通して、愛犬の歩き方や姿勢を観察し、老化のサインにいち早く気付いてあげるようにしましょう。
飼い主さんと一緒にたくさん歩きたい、という思いは、老犬になっても変わりません。
何より、生きていく上で唯一のパートナーである飼い主さんとの散歩は、何歳になっても愛犬にとってかげがえのない時間なのです。