長年連れ添っているパートナーとしての愛犬。
犬が老犬期を迎えたら、最も気をつけてあげたいことの一つは食事ですね。
人間の老化が始まる時期に個人差があるように、犬の老化時期も個体差が見受けられます。
また、年を重ねるにつれて味覚が鈍くなり、食欲が落ちることもあります。
老化に大きな影響を与えるのは、若い頃からの生活習慣、つまり食事と運動です。
幼犬のときから年齢に応じた食事を与え、適度な運動を促して健康管理を怠っていなければ、老化のスピードを遅らせることが期待できます。
●老犬期の食事について考える
・老犬期・前半(7~11歳)
この時期には、低脂肪・低カロリーのフードで肥満の対策をとることをおすすめします。
シニア犬では成犬の時期よりも運動量が減り、代謝も落ちてくるため、成犬時と同じような食事を取っていると、すぐに肥満になってしまいかねません。
肥満は心臓に負担をかけるほか、愛犬の健康に多くの支障をきたしますので、十分な注意が必要です。
・老犬期・後半(11歳~)
食べる量が減ってくること、また消化吸収の機能の衰えから、栄養の吸収率が低くなることから、少しの量でしっかりと必要な栄養素とカロリーを摂取できるフードを与える必要があります。
また近年、犬の体についての研究が進み、脂肪酸の一種であるDHA、EPAが老犬期に起こりうる様々な体のトラブルに一定の有効性があることがわかってきています。
フードを選ぶ際の参考に覚えておきましょう。
●老犬の食欲不振について
老犬が食事を食べなくなる理由として考えられるのが、大きく分けて3つ。
・年齢とともに体が変化し食の好みが変わる
・運動量や代謝が落ちるので、必要なカロリー、食事量が変わる
・歯が弱くなることや飲みこむ力(嚥下力)の低下
上記の問題を解決するために有効とされているのが、犬の味覚の特徴を正しく知ることです。
人間が味を感じるように、犬にも味覚があります。私たちの舌同様、犬の舌にも、味を感じる「味蕾(みらい)」という細胞があるのです。
味蕾の数は、人間には約1万個あるのに対して、犬にはその約5分の1の約1700個といわれています。
その数は年齢を重ねるにつれて減少していき、感度がにぶくなったりすると、塩味を中心に、少しずつ味が感じにくくなります。
そして、もっとも犬の味蕾を刺激する甘味の強い食べ物だけを好むようになり、バランスの偏った食事で健康を害するケースも少なくありません。
このように、老犬はただでさえ食べるという行為自体に関心がなくなってくる時期です。
食欲を掻き立てるような、食事の時間が楽しくなる工夫をしてあげてましょう。
●老犬の食事の豆知識集!
・消化が悪いときは、歯が生えそろわない幼犬期同様、ドッグフードをお湯でふやかしてあげるなどして与えましょう。脱水症状対策としても効果的でしたね。
・一回の食事で食べる量が減ってきたら、与える回数を3回~4回に増やし、1回の食事量を減らしてあげましょう。
・老犬期の犬には、食事のために頭を下げる動作にも負担がかかります。食器を台の上に置き、頭を下げることなく食べられるように工夫してあげましょう。
・自らの意志でフードを口にできなくなったワンちゃんには、栄養価の高い専用食を与えることで効率的に栄養を摂取できます。その際には、専用器具を使って喉の奥へ送り込むといった方法もあります。かかりつけの獣医師の指導のもと、落ち着いて適切に対処しましょう。